栗林公園の園路にはさまざまな技法が用いられています。これらの技法に注目することで、見るだけの庭園とは違う歩く庭園の面白さが感じられるかもしれません
直線の路の両側を立木などで囲うと、視線と意識は奥へ誘導されます
写真は北庭から南庭に入るところの園路(箱松があるところ)
です
これも箱松があるところですが、クランク状に路が折れ曲がっています。これは遠くまで見通せないようにするためだと思われます
南湖の南岸、楓岸と呼ばれる場所で、庭ができた当時最先端の造園技法を見ることができます。
写真左端に少し見える水面が南湖ですが、路が池から離れるように曲がった上、池との間に築山(人工の山)がきているのがわかります
これによって池が見え隠れし、景観が変化に富んだものになります
園内の水源近く、流水のところ(園の南東隅)にある沢飛石。
飛石のところでは自然と下を向くので、地下から出たばかりの澄んだ流水が目に留まります
飛来峰に登る、段の高さも幅もバラバラな石段。わざわざ歩きにくくした感じがあります
ボランティアガイドの方によると、上る間は自然と下を向くことになり、頂上について目を上げると絶景が広がるという演出だそうです。桂離宮庭園にも同様の演出があるそうです
栗林公園の路にはたくさんの分岐がありますが、路の先に建物があるとか道脇に見所があるとは限りません
写真の場所は南湖の北西にある横路ですが、建物や景物もなく、
人工の山のために視界の狭い迷路のような細道です
その時の気分で普段とは違う路を通ってみたり、先の見えない小路に入ってみるのを面白がったのかもしれません
こういった点に私は、見るだけの庭とは違う歩く庭の思想を感じました
上の写真の場所を平面図で見てみましょう
築山(灰色のグラデーションの部分)が幾つもあって、その間の狭いところを道(黄色い部分)が通っているのがわかります
築山が多数あること、そのため路が谷路になっていること、路が複雑に分岐していること。これらは室町時代までの庭園ではあまり見られないものです
明治になって公園として整備された北庭の路には、南庭とは別の設計思想が現れています
道幅が広く起伏もほとんどないのが特徴です。これは不特定多数の人が利用するため、歩きやすさとキャパシティを考えてこうなったものと思われます
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